スーツを着用した男性の魅力は、普段の3割増し。
明確な割合は定かではありませんが、女性が男性のスーツ姿に魅力を感じるという点は、あながち間違いではないようです。
しかし、スーツ姿の男性が魅力的に映るといっても、ただスーツを着用していれば良いのかというとそうではありません。だらしのないスーツ姿のサラリーマンを見る方も多いでしょう。
スーツの魅力の大きな要因の一つに、“ギャップ”が挙げられます。
普段の服装とのギャップ。パリッとしたスーツスタイルから、ネクタイを緩めるといったギャップ・・などが定番でしょうか。
パリッとしたスーツスタイルがベースにあることで、様々なギャップに繋がるのです。
パリッとしたスーツと言えば、ブリティッシュスタイルと言っても過言ではありません。
スーツの始まりは英国と言われており、ブリティッシュスタイルを知ることは、スーツを知る事と言えます。
英国ジェントルマンの魅力を取り入れ、魅力3割増しのスーツスタイルを手に入れましょう。
ブリティッシュスタイルの特徴
ブリティッシュスタイルというと、どのようなものをイメージしますか?
なんとなく、パリッとしている・・なんとなく、落ち着いた雰囲気・・・など漠然とした印象をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
英国・イギリス・アメリカなど、スーツには国によってデザイン性に違いがあります。
今回はそのお国柄の中でも核となる、英国スーツの特徴を挙げてみたいと思います。
シルエット
ブリティッシュスタイルの大きな特徴に肩からウエストにかけてのシルエットが挙げられます。
肩はしっかり肩パッドが入った構築的なデザインで、袖山が張り出したパッデットショルダー。
そこからウエストを絞り込むことにより、胸の立体感が強調される男性的なシルエット。
これはイングリッシュドレープと呼ばれ、英国スタイルの代表的な特徴です。
チェンジポケット
フロントの腰ポケットの上に付いた、一回り小さいポケット。
その名前の通り、お釣り(チェンジ)やチケットを入れたとされる事が由来です。
ちなみに、“チェンジポケット”は和製英語で、英語では“チケットポケット”と称するそうです。
袖ボタン
英国スタイルの袖ボタンは、4つの並びが良いでしょう。
既製品スーツでよく見る、キッスボタン(4つボタンの重ね)は、イタリアナポリの流れです。
ベルトレスパンツ
現代ではスーツとベルトはセットのようなイメージもありますが、スーツの歴史を辿ってみますと、元々は“ブレイシーズ”所謂サスペンダーが主流でした。
スーツ発祥となる英国スタイルを突き詰めていくと、ベルトレスのパンツにブレイシーズを合わせるのがオススメです。
ちなみに、ブレイシーズは英国での呼称、アメリカではサスペンダーと呼ばれます。
Vゾーン
Vゾーンとは、ジャケットのボタンを留めた際のシャツ+ネクタイのコーディネートを指します。
質実剛健な英国スタイルでは、Vゾーンの襟元がシャープなモノが良しとされていますので、「ピンホールカラーシャツ」や「タブカラーシャツ」など、襟型がタイトなものがオススメです。
また、1920年代にイギリスで大流行した「クレリックシャツ」も、英国らしいスタイルと言えます。
“クレリックシャツ”の呼称は和製英語となり、正式には“カラーセパレーテッドシャツ”と呼ばれます。
引用:forzastyle
コーディネートの考え方
イギリスの美学の一つに“アンダーステイトメント”があります。
アンダーステイトメントとは、「控え目な表現」という意味で、過度に着飾り注目を集める事はナンセンスであり、真のエレガントなスタイルは、一見何気ないものであっても滲みでるものである、という考え方です。
スーツの生地の色柄、ネクタイとシャツの奇抜な表現などは、英国式ではありません。
合わせるシューズもブラックが好まれます。
一番わかりやすい例が、イギリス王族チャールズ皇太子です。
“英国王室がルール”と言っても過言ではなく、それはイギリスだけでなく全世界にまで影響を及ぼします。
こんな話があります。先述した“クレリックシャツ”は、牧師が着用する僧服に似ている事から名付けられたものであり、分類すると普段着という位置付けでありました。
しかし、2005年にチャールズ皇太子が結婚式でクレリックシャツを着用したことで、クレリックシャツの位置付けはフォーマルまで引き上げられました。
イギリスのスーツの歴史
スーツのはじまりは、16世紀まで遡ります。
そのころの農民が外出する際に、着用していたのが「フロック」と呼ばれる丈の長いコートのようなモノでした。
このフロックから派生した「フロックコート」が一般的な外出着として普及していくこととなります。
現代ではあまり見る機会もありませんが、結婚式の新郎が着用する丈の長いスーツスタイル、あれがフロックコートです。
そして19世紀に入ると、丈の長いフロックコートは、散歩や乗馬には不向きという理由から
前丈が大きくカットされた「モーニングコート」や「テールコート(燕尾服)」が登場します。
こちらも、現代でも礼装として見られます。
こうした外出用として着用する丈の長い服装は、室内でくつろぐには邪魔になるということで、丈がどんどん短くなっていき現在のスーツの形になっていきました。
その代表格としては「スモーキングジャケット」が挙げられます。
その中の通り喫煙をする際に着用するもので、貴族の男性が食後の喫煙のために着用し談笑するための服装でした。
このスモーキングジャケットが、後の「タキシード」へと進化していく事となります。
その時々で様々な服装が生まれていきますが、いつの時代も上流階級が流れを作るという事は同じかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回はエレガントなスーツスタイルを追求するべく、ブリティッシュスタイルについてご案内しました。
<ブリティッシュスタイルのポイント>
・スーツにはお国柄によってスタイルが存在する。
・イギリスはスーツの発祥地であり、スーツの原点。
・過度なコーディネートはせず、アンダーステイトメントを心掛ける。
・お手本はチャールズ皇太子。
繰り返しになりますが、スーツには国によって様々なスタイルが存在します。
それを知った上でコーディネートするのと、しないでは雲泥の差がある断言します。
しかし誤解してほしくないのは、過度な表現はコスプレ化してしまうという事です。
スーツの知識を増やし、TPOに合わせてスーツスタイルを楽しんでいただければ幸いです。
(コウノケンタ)