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DtoCの時代は終わった令和時代のビジネス戦略

メーカーが商品の企画から販売までをすべて自社で手がけるDtoCビジネス(ディーツーシー、Direct to Consumer。D2Cとも表記する)。2000年ごろから、SNSなどの影響で大きく発展し、注目を集めています。

ところが2020年代に入ってから、小売業者を中心に、DtoC業者の売り上げが年々下がってきていることをご存じですか。

この記事では、DtoCビジネスの売り上げが下がった理由や、令和の時代に必要なDtoCブランドの発展方法について解説します。

DtoCビジネスに興味がある人や、DtoCビジネスを立ち上げたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。

DtoCとは

DtoCビジネスとは、メーカーが商品企画から製造、販売に至るまでをすべて自社で担うビジネスモデルのことをいいます。

仲介業者を介さないため大幅なコストの削減につながることや、ユーザーと直接接し、商品への感想や意見などをもらえることが大きな特徴の一つです。

近年ではSNSの発展や、クラウドサービスによる受注管理システムの普及などで、大きく注目されるようになりました。

国内ではスタートアップ企業やアパレルブランド、スイーツショップ、化粧品などの事業が、代表的なDtoC事業として取り上げられています。

DtoCブランドの代表例

DtoCブランドのイメージをつかむために、国内で成功を収めているDtoCブランドを3つ紹介します。

土屋鞄製造所
土屋鞄製造所は、カバンや財布、ランドセルといった革製品を扱うDtoCブランドです。

2000年代よりオンラインショッピングに対応したことで、一気に知名度を高めました。

BASE FOOD
「完全食」を販売するBASE FOODも、DtoCによるビジネスを展開するブランドです。

BASE FOODの代表商品である「BASE BREAD」は、コンビニなどでも見かけるほどの人気商品になりました。

COHINA(コヒナ)
小柄な女性に向けたファッションを展開しているアパレルブランドCOHINA(コヒナ)。

SNSを利用したマーケティングが成功し、設立3年目にして月商1億円を超える企業に成長しています。

DtoCブランドが苦戦する理由

大きな成功を収める企業も多いDtoC。しかし2020年代以降、全体的な売り上げは下がりつつあります。DtoCブランドが苦戦する理由について、詳しく解説します。

SNSマーケティングのコストが上昇した
DtoCの発展は、SNSによる比較的安価なマーケティング手法の確立が大きな要因でした。

ところが近年、SNSマーケティングの広告コストが急激に増加しているのです。

これにはいくつかの理由がありますが、最大の理由は、SNSマーケティングの有用性が認められ、大企業もこぞって参加したことで、広告費用が値上がりしたことです。

また、大企業がユーザーのデータを収集していることに批判が集まったことも原因の一つです。

これにより、多くの企業はユーザーの閲覧サイトデータなどをもとに広告を表示することが難しくなり、広告の表示にコストがかかるようになりました。

競合が増えすぎた
DtoCは2000年代以降、大きな発展と広がりを見せました。

スタートアップ企業でも大きく利益を上げるチャンスがあることから、短期間で新規参入企業が一気に増加。この結果、多くの企業は他の競合との差別化をはかれず、埋もれてしまっています。

配送料の上昇
コロナ禍を経てオンラインショッピングが一般的になったことにより、配送の需要が急増しました。これをうけて、配送料も年々上がりつつあります。

規模の小さい小売業者にとって、配送料の値上がりは大きなダメージです。商品の売り上げ自体には変化がないのにもかかわらず、配送料の値上げによって売上額が落ちている業者も増えてきています。

DtoCが衰退しない理由とは

では、今後DtoCのビジネスモデルは衰退していくのでしょうか。そうとは考えない識者も多くいます。

たとえば2pmの調査によると、DtoCビジネスを最も支持しているのはZ世代です。なんと、従来の小売業者よりもDtoCビジネスのほうを好むと回答したZ世代は40~45パーセントにのぼります。

これからの消費を支えるZ世代に支持されるビジネスモデルですから、容易には衰退しないことが予測されます。

逆にいえば、Z世代に支持されるブランディングを考えることが、DtoCビジネスで生き残るための戦略といえるでしょう。

DtoCブランドが苦境を乗り越える方法とは?

規模の小さいDtoC業者には厳しい状況が続く2020年代。苦境を乗り越えるためには、どんなことに気をつければよいのでしょうか。

ターゲットを明確にする
まずは、商品やサービスを提供したいカスタマーの属性を明確にします。

一般的にDtoCビジネスは、小規模に事業を展開することがほとんどです。

そのため、顧客層を限定しそこに注力したアプローチを取ることで、ニッチな需要を的確に拾い上げられるのです。

カスタマーサービスを充実させる
DtoCの大きな特徴である、ユーザーとメーカーとの直接のやりとりを強化させることも重要なポイントです。

DtoCで成功している事業の多くは、ユーザーとのコミュニケーションを重視しています。

たとえば、先ほど紹介したファッションブランドCOHINA(コヒナ)は、インスタグラムのライブ配信を400日にわたって続けたことで注目を集めました。

ライブ配信ではカスタマーの意見をリアルタイムで募集し、その意見をもとに商品を企画・開発しています。

COHINAは、顧客との強いきずなを獲得することでリピーターを増やした、まさに令和のDtoCビジネスにおける代表的事例といえるでしょう。

サステナビリティに配慮する
DtoCブランドのカスタマーは、その多くがミレニアル世代やZ世代です。

これらの世代は環境問題や社会問題に対して高い関心を持っており、サステナブルな取り組みをしている企業の製品を好んで購入する傾向があります。

サステナビリティに配慮した取り組みは、顧客層に合わせてターゲティングするためには必須であることが分かります。

まとめ

2020年代以降、配送料の増加や競合の増加、そしてSNSマーケティングのコスト上昇などさまざまな原因から苦戦を強いられているDtoC業界。

しかし、カスタマーとのやりとりを増やしたりサステナビリティに配慮したりするといった時代の潮流を読んだ戦略を取ることで、他社との差別化は十分にはかれます。

DtoCビジネスの顧客や性質をよく理解した上で、新しい時代のビジネスに参加しましょう。

(森田さえ)

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