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コロナ禍で働くZ世代の若者をどう育てるか

2020年、新型コロナウイルスは人々の働き方を大きく変えました。その威力はすさまじく、2019年に施行された働き方改革よりも多大な影響を与え、施行された働き方改革とは違う意味で、人々の働き方に変革をもたらしたのかもしれません。

コロナ禍で入社した新入社員やその年代のビジネスパーソン、いわゆる「Z世代」と呼ばれる若者たちは、現場のリーダーやマネージャーから見れば、価値観も仕事に対する意識も大きく異なることでしょう。さらに、コロナ禍ではこれまでのような人材育成の手法を取れず、頭を悩ませている人も多いのではないでしょうか。

ニューノーマル時代に求められる、Z世代の人材育成やマネジメントを成功へと導くためのポイントを考えてみましょう。

Z世代とは?

まずは、Z世代についてのおさらいをしましょう。

Z世代とは、1990年後半~2000年前半に生まれた世代のことをいいます。この世代は生まれたときから、当然のようにデジタルツールやインターネットに触れていることから、デジタルネイティブ世代でもあります。

一方で、Z世代が所属する各部のマネージャークラス以上(部長や常務以上)に多い、1965年頃~1980年頃に生まれた世代を「X世代」といいます。

Z世代の特徴として、デジタルリテラシーが高く、ダイバーシティを重視する傾向にあります。また、保守的な金銭感覚を持っており、無駄に物を所有しません。情報収集は主にSNSなどのwebで行い、時代や状況の変化に対して柔軟性があることが特徴です。

Z世代の新入社員が思う理想の上司・職場とは?

Z世代を育てるにあたり、まずは仕事に対してどのような意識を持っているかを把握しておく必要があります。そこで、Z世代が思う理想の上司や職場について、2021年6月28日にリクルートマーケティングソリューションズが発表した「2021年 新入社員意識調査」を元に、主なポイントを考察しました。

・キーワードは「パーソナル」

意識調査の結果から、10年前の調査と比べて変化したポイントとして、「パーソナル(=個性、一人一人)」を重視する人が増えたことが挙げられます。今回の調査でも、「お互いに個性を尊重する」職場が理想という回答が、過去最大の伸び率となりました。

ほかにも、理想の上司に「相手の意見や考え方に耳を傾けること」や「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」が挙がるなど、個性や個人を尊重してほしいという意見が多くうかがえます。

一方では、理想の職場に「お互いに助け合う」という回答は、今回の調査でも最も多く、10年前から大きな変化は見られませんでした。

個性や個人を尊重しつつ、組織の一員として仕事をしたいというのが、Z世代の仕事に対する理想のようです。

・「情熱」「厳しさ」は低下傾向

理想の職場や上司に対する意識調査の回答で、10年前と比べて回答率が減少したものとして、「お互いに鍛え合う」職場や「仕事に情熱をもって取り組み、厳しく指導する」上司という回答でした。

X世代が新入社員の頃に経験したような、「一致団結して辛くてもチームでゴールを目指す」という意識は、Z世代には求められていません。そのため、Z世代の人材育成にあたって、リーダーやマネージャーは新しい価値観を持つことが必要不可欠です。

Z世代の新入社員が思う悩みとは?

現場のリーダーやマネージャーにとって、一見クールな印象を持つZ世代ですが、やはり仕事に対して悩みを感じています。同じく、リクルートマーケティングソリューションズの「2021年 新入社員意識調査」を元に考察しました。

・仕事とプライベートのメリハリがつきにくい

2021年度に入社した新入社員は、コロナ禍での学生生活や就活を経験しており、オンライン環境には慣れています。実際に入社試験はオンライン面接だったこともあり、入社以降もテレワークやリモートワークを予想していた新入社員も多いでしょう。

しかし、学生時代にオンライン授業を受けた経験上、仕事とプライベートのメリハリがつきにくいことが予想できてしまうため、不安や悩みを抱える新入社員が多いようです。この悩みは、コロナ禍以前には感じにくかった新たな問題です。また、悩みを解決するべき立場にいる上司自身も、同じような悩みを抱えている人は多いと思われます。

上司と新入社員が同じ悩みを抱えることは、解決策を見つけにくくなり、人材育成の大きな壁になりかねません。そのため、上司の早急な対応が試される場面でもあります。

・最たる不安は「仕事についていけるか」

意識調査の中で最も大きな不安と回答されたのが、「仕事についていけるか」というものでした。これは、いつの時代も新入社員が抱える悩みではありますが、コロナ禍では悩みの性質が少し異なるようです。

リモートワークやテレワーク環境下では、部下一人一人に対するこまめなフィードバックが難しい傾向にあります。特にコロナ禍で入社した新入社員は、オフィス内の雰囲気を感じる機会が減り、上司や指導担当の先輩以外とは、ほとんど話したことがないという人もいるようです。

昨今は、コロナ禍以前のようにランチを共にしたり、デスクを並べて何気ない会話をしたりすることができず、上司や先輩とこまめにコミュニケーションをとる機会が減ってしまいました。そのため、黙々とリモートワークやテレワークを行う新入社員は、自分のスキルや仕事についていけているかなどを把握しにくく、どんどん不安が高まってしまいます。

リーダーやマネージャーは、新入社員が抱える「仕事についていけるか」の悩みの本質を理解し、これまでとは別の角度からサポートすることが重要です。

Z世代の人材育成におけるポイント

ここまで、Z世代の新入社員が持つ理想や悩みを理解していただけたことと思います。それを踏まえて、リーダーやマネージャーはどのようにZ世代の新入社員を育成していけばよいのでしょうか。ポイントを3つに絞って挙げてみます。

・人間の側面に目を向けたマネジメントを行う

職場で業務をこなすというのは当然のことです。しかし、人材育成を「組織向上のための業務」ではなく、「人間としての側面に目を向け信頼関係を構築すること」と考えてみましょう。

さらに具体的にいうのであれば、「新入社員が仕事をどこまでできるようになったか」を把握するのではなく、「新入社員がどれくらい自発的にコミュニケーションをとってくるようになったか」を重要視するのです。

マネジメントでは、個々のスキルを活かし、そのスキルをチームとして効率的に活用することで、組織として最大の成果を上げることが求められます。そのためには、まず個人がどのようなスキルを持っているかを把握しなければいけません。

新入社員の個性や持ち味を知るために、まずは何でも話せる上司になるために信頼関係を築き上げることが重要なのです。

・デジタル技術の強みを活かす

Z世代は、デジタルツールを使いこなし、オンライン上のコミュニティに所属することに慣れています。それは、生活する上で起こる悩みや問題に対し、スマホを駆使することで多くのことを解決していることからもわかります。また、複数のSNSで多様なコミュニティに参加し、発言することに抵抗がないのも明らかです

さらに、SNSの危険性やITリテラシーに対しても知識を持っているので、その強みを活かした人材育成を行いましょう。

これまでは、OJT(職場内訓練)や対面による研修や面談を採用してきましたが、これらをオンラインへと移行しても質の高い人材育成は可能です。

自発的なコミュニケーションを促すには、メールではなくビジネスチャットを使うことで、オフィス内での会話に近いやり取りが可能です。ビジネスチャットではシェア機能が充実しているので、チーム内の縦のつながり以外にも、他部署との横のつながりを広げることも可能です。ときには、新入社員同士で悩みや疑問を共有できる部屋を設けることも良いでしょう。

また、従業員の健康状態を把握するためのITツールや、オンラインで勤怠管理ができるサービスなどを多様なデジタルツールを駆使することで、対面せずとも新入社員とコミュニケーションをとることが可能なのです。

コロナ禍における新入社員の人材育成で重要なのは、対面であってもオンラインであっても常に新入社員に目を向け、新入社員の声に耳を傾け受け止める姿勢を見せることです。

・個性とプライベートを尊重する

リクルートマーケティングソリューションズの「2021年 新入社員意識調査」で、「仕事とプライベートのメリハリがつきにくい」ことに対する回答率の高さからわかるように、Z世代は、仕事とプライベートをしっかりと分けたいと思っています。

だからこそ、新入社員のプライベートには十分に配慮しましょう。一般的にタブーとされている会話はもちろん、無理にSNSでつながろうとしたり、業務時間外の時間にまで踏み込んだりすることは反感を買ってしまいます。

また、これまでにない社会情勢の中で入社してきたZ世代の新入社員は、多様な価値観や考え方を持ち合わせています。X世代にあたるリーダーやマネージャーにとって、ときには理解できない部分もあるかもしれません。しかし、何が起こるかわからないこれからの時代は、新しい価値観や考え方がチャンスを生み出すきっかけになるのかもしれません。

新入社員の個性とプライベートを尊重し、部下であっても「尊重すべき1人の人間」という意識を持って接していくことが重要です。

まとめ

多くの新入社員と部下を率いてきた人は、これまでも価値観や意識の違いを感じつつ、それでもリーダーとして受け入れ、育て上げてきたことと思います。

しかし、新型コロナウイルスという誰も経験したことのない状況下で、就活や入社試験を経たZ世代の新入社員は、新しい価値観や意識を持っているかもしれません。

だからこそ、今後のニューノーマルな時代にはZ世代も含め、社会情勢に沿った人材育成ができることもリーダーとして求められるスキルであり、そのスキルを身につけた人こそ、周囲から「真のリーダー」として認められる存在なのでしょう。

(ONIGIRIMUSIC)

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