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たしなみとして知っておきたいフランスワイン二大地方の話:ボルドーとブルゴーニュ

ビジネスマンにとって基本のたしなみとなってきたワイン。ワインを語るにあたって避けて通れないのが、伝統あるワイン大国として多くの人に愛されるフランスです。本記事では、そのフランスワインの二大地方、ボルドーとブルゴーニュについて、それぞれの特徴とおすすめのワインについてご紹介します。

フランスがワイン大国になった理由

ワイン発祥の地はフランスではない?
伝統的なワイン大国ゆえに、フランスがワイン発祥の地と思われることも多いのですが、実はそうではありません。近年最も有力とされているワイン発祥の地は、紀元前6000年ごろには既にワインが作られていたと考えられているジョージアであり、今でも伝統的な「クヴェヴリ」を使用したワイン造りが行われています。

品質を守るAOC法
なぜフランスがワイン大国として有名になったのでしょうか。その理由は、元々品質の良いワインを造るのに適した地であったことや政治や宗教の問題など、様々な要因があります。しかし、フランスワインが世界的に高品質なワインとして認知されるようになった要因としては、品質管理が厳格に行われるAOC法の制定が挙げられます。

AOCは日本語では原産地名称統制法と訳され、ワイン生産に使用されるブドウの品種、地域、生産方法、熟成期間などに関して厳格に規定しています。これにより、ワインの品質を一定の水準に保ち、ワインの独自性を守ることが目的とされています。

ブレンドで理想の味をつくりあげるボルドー

フランス南西部に位置するボルドー地方は、ジロンド河とその上流にあるドルドーニュ川、ガロンヌ川に沿って広がっています。これらの川が、ボルドー地方の豊かな土壌と気候を形成し、高品質なブドウの生産に適した環境を提供しています。

大型のシャトーがブドウ造りから瓶詰まで行う
ボルドー地方では、多くのシャトーがワイン造りを行っています。これらのシャトーは、ブドウの栽培から収穫、ワインの醸造、熟成、瓶詰めまでを一貫して手がけることが多く、その全ての工程を管理することで、品質にこだわったワイン造りを行っています。

ベストの味わいに調整するアッサンブラージュ
ボルドーワインの大きな特徴のひとつに、複数のブドウ品種をブレンドしてワインを仕上げるという点があります。ブレンドはアッサンブラージュと呼ばれ、その年の気候変化に応じてブドウの比率を調整しながら、最適な味わいを造り手の意向に沿って調整することができます。

ナポレオン3世の時代から続くメドック格付け
1855年、ナポレオン3世が主催したパリ万博において、ワインの品質や流通量を元に行われたワインのランク付けがメドック格付けであり、赤ワインを造るシャトーを5つのレベルで格付けしています。最初に1級として選ばれた4つのシャトーに、1973年に2級から昇格したシャトー・ムートン・ロートシルトが加わり、五大シャトーと呼ばれるようになりました。ランク付けが決められた当時から150年以上経った今でも、メドック格付けのランクはボルドー地方におけるワインの品質評価の指標として重要な役割を果たしています。

ボルドーのワインの特徴
ボルドーの赤ワインは、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルローなどの品種をアッサンブラージュしてつくられます。一般的にタンニンが強く、複雑で重厚なフルボディであることが多く、ブラックカシスやブラックチェリー、ブラックベリーなどのベリー系のアロマが特徴的です。

単一品種で葡萄の個性がより出やすいブルゴーニュ

ボルドーと並んでフランス最高峰のワイン産地であるのが東部に位置するブルゴーニュ地方です。アッサンブラージュでシャトー独自の味をつくれるボルドーと違い、ブルゴーニュではブドウ品種のブレンドが一切認められておらず使用できるブドウも限られています。

畑レベルで細かく格付け
ブルゴーニュ地方はかつて海底にあった土地であり、土壌の養分や鉱物が畑ごとに異なり、性質の違いが顕著に表れることで知られています。そのため、格付けもシャトーごとではなく畑レベルに行われており、グラン・クリュ(特級畑)、プルミエ・クリュ(一級畑)、村名クラス、地域名クラスに分かれています。

家族経営のドメーヌと畑を持たないネゴシアン
シャトーと同じようにブドウの栽培から瓶詰めまでおこなうドメーヌですが、大規模なシャトーとは異なり、家族経営が多いです。ドメーヌのワインは量は多くありませんが、テロワールに精通した丁寧な畑仕事と醸造技術によって特徴づけられます。しかしながら、ワインの品質はブドウの収穫量に大きく左右されます。

一方、自社の畑を持たず、複数の畑からブドウを仕入れてワインを造るのがネゴシアンです。ネゴシアンは複数のブドウ農家と契約して銘柄を取り扱うことでビジネスを展開し、複数の畑のブドウをブレンドすることもできるため、比較的安定した品質を保つことが可能です。中には、ドメーヌとしてブドウ栽培・ワインの生産を行いながらも他のドメーヌからもブドウを買い付け、ネゴシアンラベルのワインも生産している生産者もいます。

ブルゴーニュのワインの特徴
ピノノワールを主流とし、単一品種でつくられるブルゴーニュの赤ワインはタンニンが控えめで特徴的な酸味をもち、繊細でエレガントな味わいが特徴的です。一般的には、赤い果実やチェリー、イチジク、キャンディーのような香りがあります。また、長期熟成によって、フルーティーな味わいからスパイスや土壌のニュアンスなど、より複雑な味わいに変化していきます。

まとめ

本記事では、ワインをたしなむなら知っておきたいフランス王国ワインの二大地方についてご紹介しました。ボルドーとブルゴーニュは、いずれもフランスの代表的なワイン産地であり、世界中で高く評価されています。大規模なシャトーによってアッサンブラージュでつくられる複雑で重厚な味わいのボルドーのワインと、畑ごとに異なる微妙なニュアンスを持つ繊細でエレガントなブルゴーニュのワイン。どちらのワインも、その独自の特徴によって愛好家を魅了しています。

(文月由愛)

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