ウィズコロナからアフターコロナへ移行しつつある昨今、週末貸別荘のデュアルライフから短期移住など生活拠点の選択が大きく変わろうとしています。そんなときだからこそ、心のどこかに留めていた憧れの海外移住を本気で考える人も増えてくるのではないでしょうか。
終身雇用の崩壊に年金受給不安、東海地震の恐怖やコロナ禍における政府の対応、今の日本社会に不満を抱く人は少なくありません。でも、本当に海外に移住したいのですか?海外で何をしたいのでしょう?
英語が話せなくても大丈夫!海外移住先ランキングやノマドワーク情報などネットでは海外移住に関連したビジネスも増え、その言葉を安易に信じて海外に移住する人が後を絶ちません。が、残念ながら海外移住に幻滅して帰国する人も多いのが現状です。そうならないためにも充分すぎるくらいの準備をする。でも何をどのようにして?海外在住25年の筆者が経験と知識から得た具体的計画案を提示します。
移住の目的と期限を決める
・移住の具体的な目的をすべて書き出してみる
2019年の外務省「海外在留邦人数調査統計」によると、海外で暮らす邦人数は141万人。国別在留邦人数では、アメリカ、中国、オーストラリア、タイ、カナダが上位TOP5となっています。この数は年々増加しており今後も増え続けていくことでしょう。移住の目的も生活拠点の見直しから子供の教育、スキルアップ、駐在など様々ですが、この移住目的が具体的であればあるほどその後の準備が格段に変わってきます。
まずはあなたの移住目的をすべて具体的に書き出してみてください。カップル、家族で?それとも一人で?移住する人数によってもビザの取得方法から生活環境までがらりと変わります。まずはお試しに何度か現地で数週間単位で暮らしてみることをお勧めします。お試しのプチ移住にはエアビーが便利。数週間の滞在の現地視察から動き始めてみませんか?
・スケジュール案の作成
そして期限の設定もお忘れなく。パスポートにビザの申請、運転免許の切り替えや銀行、子供の学校の手続きなど時間を要することがこれから多々出てきます。1年なんてあっという間に過ぎてしまうので、まずは大まかなスケジュールを立ててみる。そこから逆算していけば、移住生活の実現が近づいてきます。外務省の海外安全ホームページでは、目的別に応じて様々な情報収集が可能ですのでご参照ください。
https://www.anzen.mofa.go.jp/business/
徹底してビザ関連情報を収集する
・まずは滞在先の大使館領事部サイトから
海外移住の第一難関はビザならびに滞在許可証の取得です。各国の取得方法は実に様々。さらに取得条件や期間などビザに関する法律はしばしば改正されるのが現状です。これは各国の移民状況により、ある年はビザや滞在許可証そして永住権まで取得が容易であったのに翌年は条件が厳しくなったりと常に変化しますので、渡航先の大使館移民局でのビザ情報を常にアップデートしておく必要があります。
ビザ取得に資金源の証明を必要とする国も多くなりました。書類作成に始まり様々な証明書の添付、特に資産の問題は煩雑な手続きを要します。各国のビザ・パスポート情報一覧などもありますのでご参考までに。
https://www.jal.co.jp/jp/ja/tabi/info/visa/
資金源を明確にする
・国際税務専門家にも相談を
渡航先での海外生活を支える資金源は明確ですか?海外投資目的あるいは企業の駐在員は資金に余裕を持った方も多いと思いますが、それでも海外生活は予測もしない出費が重なります。特に家族での移住では子供の教育資金や緊急時の医療費など充分な生活設計が必要です。現地で就労する、現地で起業するともなれば、所得税や法人税などが発生し問題はさらに複雑に。
また日本で所有している不動産の賃貸或いは売却など、移住に際して国内で整理しておかなければならない税務問題もでてきます。そこで事前に海外税務に精通した国際税理士やファイナンシャルプランナーから税務情報を習得しておくことをお勧めします。近年はプログラミングやWEBデザイナーをはじめとするノマドワーカーといったインターネットの普及で生まれた新たな職業により海外移住のハードルが格段に下がりました。いくつかの副業を兼業しながら複数の資金源を確保できればいざというときに心強いでしょう。
もはや言語習得はあたりまえ?
・移住前にレッスンを始める
英語ができなくても海外移住している人は多くいます。英語圏以外の例えば中国やフランスなどに滞在している人の中にも現地語が充分に理解できなくてもどうにか生活している人もいるでしょう。しかし長い海外生活、現地でのビザの更新や病院、行政関係や銀行の手続きに始まり不動産賃貸または購入、仕事をする際においても言語習得が不可欠であることは言うまでもありません。
特にビザの更新に簡単な言語テストを実施する国も増えてきました。またビザ更新や不動産手続きなど生活の中で節目ともなる重要な手続きや契約には、専門用語や理解困難な定型文章などが多々出てきます。それをよく理解もせずに署名だけしてしまったことで、後々法的問題まで発展してしまうケースもあるのです。海外移住を考えるのであれば、まずは現地の外国語習得を目指してください。言葉の壁を乗り越えるのは容易ではありませんが、今ではネットを利用した個人レッスンや多種多様の外国語学習媒体が存在します。この壁を乗り越えた先には様々な可能性が広がっているのです。
まとめ
多様な世界を見てみたかった!その一心で日本を飛び出して25年になりますが、その志は今も変わりなく世界中を回っています。もちろん海外生活も長くなれば様々な障害に遭遇し日本に帰国したいと思うことも多々ありますが、それ以上にやはり海外生活は楽しいのです。
移住の目的と資金に言葉、そしてビザ問題さえクリアすればとりあえずの一歩を踏み出せます。実際に移住してみて後悔することもこれから色々とでてくることでしょう。でも何よりもやらない後悔ほど残念なことはないと思うのです。もしも一度でも海外生活を夢見たことがあるのなら、挑戦する機会はいくらでもあるはず。人生100年時代と言われる今、折り返し地点から後半の人生も盛り上げていきませんか?人生はまだまだこれからだと思うのです!!!
(小川ひろみ)