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香る伝統工芸品「奈良墨」にぎり墨体験

日本人たるもの、日本の伝統や文化について、多少なりとも知っておきたいもの。

今回は実用的で香りもよく見た目も美しい、そして作成体験もできて触れる伝統工芸品「奈良墨」についてご紹介させていただきます。

●墨・奈良墨の歴史

  • 墨・奈良墨の歴史

墨は今から1400年前、当時の中国から飛鳥の地に伝来したといわれています。

奈良時代に入ると仏教文化の影響により写経が盛んに行われ、輸入だけでは墨が賄えず、近畿地方で次々と墨が製造されるようになりました。

当時は松材から煤を取る松煙墨が主流でしたが、平安時代末期は油煙墨へと移り変わりました。

そういった墨の歴史と伝統の技が受け継がれるのが、奈良墨です。

墨の日本国内シェアは95%以上に及び、平成30年には経済産業省により伝統工芸品の指定品目に選ばれています。

  • 油煙墨の造り方

奈良墨の製造法の一つである油煙墨の造り方をご紹介します。

主な材料は菜種や胡麻油などの植物油、動物の皮や骨から抽出した膠、香料です。

まず植物油を土器に入れ、灯心を差して火を灯します。上から覆った蓋に付いた煤を採ります。

そして膠に水を入れ4時間程かき混ぜながら湯煎し、膠の溶液を作ります。煤にその溶液を加え、少量の香料を加え攪拌し、足などでしっかり粗練りをします。さらに手で充分に揉みこんでいくと柔らかな生墨になります。

その生墨を定められた大きさに計り、文字や図柄が彫られた墨専用の木型に入れます。

型に入れた生墨を木灰に入れて灰乾燥。その後、時間をかけて自然乾燥させます。

最後に墨の表面を大蛤の貝殻や棕櫚でよく磨きます。乾燥後、顔料で彩色する墨もあります。

引用:https://kinkoen.jp/

●にぎり墨体験ができる錦光園

  • 奈良墨の伝統を受け継ぐ錦光園

奈良墨を受け継ぐ墨工房の一つが、奈良墨工房「錦光園」です。

錦光園は江戸時代から続いていた由緒ある墨工房「古梅園」で働いていた長野亀吉が、明治時代に独立したことからはじまり、以来1000年以上にわたり昔ながらの製法で奈良墨を作り続けています。

伝統を守る一方で、墨の新しい可能性を追求し続けています。

  • 体験内容

錦光園では油煙墨の生墨を自分の手で握って成形する「にぎり墨」の体験ができます。

体験の流れはといいますと

①墨職人さんのお話

奈良墨の歴史や墨屋さんの現状、墨の材料についてといった墨のお話をお伺いします。

②墨職人さんの実演

手早く墨を練っていくところや、墨を木型に入れるところを実演してくださいます。

職人の華麗なる手捌きを目の前でみることができます。

③生墨を触る・練る

手のひらに少量の油を塗ったら、いよいよ墨職人さんから生墨を手渡されます。柔らかくて温かい手のひらサイズほどの生墨です。

生墨の質感を楽しんだあとは、揉みこんで墨の中に入っている空気を抜いていきます。充分に練り終わったら、棒状にします。

④握って成形をする

棒状にした墨を片手でぎゅっと握って、成形したところで、ひとまず体験完了です。

⑤3か月間、自然乾燥させる

自分の手の形になったにぎり墨を、専用の桐箱に入れて3か月間保管・自然乾燥させたあとに、にぎり墨が完成します。

この間、桐箱を開けてはならないので、次に自分だけのにぎり墨と会えるのも3か月後になります。

となっています。

3か月後、どんな風になっているのか楽しみですね。

  • にぎり墨体験の申し込み方法

 TELやFAXはもちろん、錦光園HPからのオンライン申し込みも可能です。

 錦光園へ直接行って体験するのが難しい方は、オンラインでも体験することができます。

 錦光園のHPは英語対応しているため、外国人でも安心して申し込みができます。

 

 奈良墨工房「錦光園」HP(にぎり墨体験)

https://kinkoen.jp/experience/

香る美術工芸品は大事な人へのお土産にも

錦光園は筆記具としての墨の製造や、にぎり墨体験といった伝統文化の普及活動だけではなく、墨の新たな可能性を広げる取り組みもしています。

その一つが墨の美しさと香りを愉しんでいただくためにつくられた「香り墨」です。

香り墨はその造形の美しさとリラックス効果のある墨の香りによって、インテリア品としても人気を博しています。

大切な人へのプレゼントや取引先へのお土産にもおすすめの品々をご紹介します。

  • 香り墨Asuka

奈良の宝物を代表する伎楽面をモチーフにした香り墨です。

伎楽は7世紀初めに呉から伝わった仮面舞踏劇で、大仏開眼供養など寺院の重要な法会で上演されていました。

伎楽面はその劇の際に使用されているお面です。

迦楼羅は厄除け、力士は身体健全、呉女は女性の美を司る縁起物でもあります。

引用:https://kinkoen.jp/kaorisumi/asuka/

  • 菓子木型墨

墨が奈良に伝わってきたのと同時期に、和菓子の製法も大陸から伝わってきました。

原材料を木型にはめ込み形を整え、取り出したものを乾燥させるという和菓子の製造工程は墨のそれとよく似ています。

「食べるのが勿体ない」といわれる和菓子・落雁の美しさと、墨の光沢感と奥行きのある黒という墨の魅力をかけ合わせた、日本の伝統と伝統のコラボレーションから生まれたもの。

モチーフには鶴・亀・松が形どられており、いずれも長寿や夫婦円満を表す縁起物です。

引用:https://kinkoen.jp/kaorisumi/kashikigata/

  • おはじき墨

十二類歌合絵詞の十二支をモチーフに作られた小さくて可愛らしい墨がおはじき墨です。

冠婚葬祭や写経、絵葉書を書くときなどに墨を使うけれど、少し使えればいいという人に人気の使いきりサイズ。

笹蔓手金更紗(ささづるできんさらさ)の端正で高貴な趣の袋にパッケージされる可愛らしい絵柄の墨なので、女性へのプレゼントにもうってつけ。

小さい墨なので「フライトなどの都合で荷物は増やせないけれど、日本的なものをお土産に持って行きたい」というときにもお勧めです。

引用:https://kinkoen.jp/kaorisumi/ohajikisumi/

墨という日本の伝統工芸品と、墨について知り、墨を触り、墨を購入できる錦光園についてご紹介させていただきました。

これを機会に様々な角度で日本の伝統工芸や墨文化に慣れ親しんでみてはいかがでしょうか。

奈良墨工房「錦光園」HP

kinkoen.jp

奈良墨工房「錦光園」オンラインショップ

https://kinkoen.shop/

(sagisakura)

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